6.あとがき
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本論にて提案する系統的教育への改善には、専門とする大学関係者の努力もさることながら、外 的な環境も同時に見直されなければならない。抜本的な教育体系の改訂には、現行の単位制度が必ず しも機能的ではないことは明らかである。 大網化のもと平成3年6月に大学設置基準が改正されたが、これは各大学の自由裁量を認めよう とするものであり、一方では、大学自身がその教育活動を厳しく自己点検することを骨子としている。従っ て、カリキュラム上の自由度が著しく増し、大学や専門教員の強い個性を発揮する土壌が整うチャンスとな っているが、同時に、確固たる教育理念と独自性が問われることにもなる。 例えば、学部課程でコース制を実施することも可能になり、さらには、従来の土木工学、機械工学 といった区分けがなくなることも十分考えられる。本文で提言したような構造工学全体の枠組みの中で、あ るいはもっと高所から(例えば、structual mechanics,material scienceの立場から)、再考することがます ます重要となろう。その際は、コンクリート構造の系統的教育体系に関する明確なコンセプト(+アイデア)を 持ち、その具体的効果的な青写真を用意していなければならない。 |