Bコンクリート構造物の3要素
コンクリート構造物を計画・建設する際、広範囲にわたる多くの項目を調査・検討する必要があるが、これらを材料、施工、構造・設計の3要素に分類するとわかりやすい。これは、表2に示すように、“材料”の選定・配合・試験、種々の“施工方法”の検討および“構造・設計”に関する解析と照査などである。
表2 鉄筋コンクリート3要素の例
材料 |
施工 |
構造 ・ 設計 |
・配合 |
単位セメント量w/c
粗骨材最大寸法s/a
フライアッシュ、AE剤 |
・アルカリ骨材反応 |
・塩分含有量(海砂の使用制限) |
・混和材料の選定 |
・材料の性質→材料試験 |
・フレッシュコンクリート |
スランプ
空気量
ワーカビリチー |
・硬化コンクリ−トの性質 |
圧縮強度
弾性係数
ポアソン比
クリープ |
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・打設方法 |
バケット打ち
ポンプ打ち |
・締固め、バイブレーター |
・型枠、支保工 |
・打継目、養生 |
・鉄筋継手 |
・構築方法 |
プレキャストコンクリート
場所打ちコンクリート |
・寒中・暑中・水中コンクリート |
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・断面形式 |
無筋コンクリート(マスコンクリート)
鉄筋コンクリート
プレストレストコンクリート |
・耐力・変形・疲労 |
・断面力 |
スラブ、梁、柱
曲げ、せん断、ねじり |
・許容応力度設計法→限界状態設計法 (安全係数、設計照査) |
・新しい構造形式 |
円筒容器 |
原子力格納容器
PCタンク
LNGタンク |
壁式構造物(耐震壁) |
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・流動化コンクリート
・低発熱セメント |
の活用、 ・RCDの工法 |
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コンクリート標準示方書(土木学会):構造性能照査編、耐震設計編、施工編、舗装・ダム編、基準編 |
12 第1章 鉄筋コンクリートの特徴と構造
土木構造物の場合、これらの基本的要項あるいは一般の標準を示したものが土木学会の「コンクリート標準示方書」であり、現在これは「構造性能照査編」、「耐震設計編」、「施工編」、「舗装・ダム編」、「規準編」に分かれて刊行されている。
ここまで大切なことは、これら3要素が全く独立している訳ではなく、各々が深く関連しているということである。構造形式の選定は施工方法によって決まることが多く、設計上の諸条件は材料試験による確認が必要である。そして、あるコンクリート構造物が計画されると、これらの3要素の多くはコンクリート標準示方書や他の規準書から決定されるが、あるものは経済性から、あるものは経験から、あるものは地域的な制約から仕様が決まり、建設が開始されるものである。
参考文献
[1] Special Committee on Concrete and Reinforced Concrete : Progress
Report of Special Committee on Concrete and Reinforced Concrete、Proc.of
ASCE(Feb.1913)、pp.117〜135.
[2] 池田尚治:土木分野における合成構造・複合構造の現状、コンクリート工学、Vol.29、No.6(1991.6)、pp.4〜12.
[3] 土木学会:プレストレストコンクリート構造の現況と設計方法の動向、コンクリート技術シリーズNo.5(1994.5)
[4] 平石久廣監修:高強度RCによる新世代のRC構造(特集 I)、建築技術(1994.6)
[5] 長滝重義:土木におけるコンクリートの高性能化・高機能化、コンクリート工学、Vol.32、No.7(1994.7)、pp.9〜13.
[6] 日本コンクリート工学協会:景観コンクリート研究委員会報告書(1992.5)
[7] 例えば、吉川・大塚・三浦・小玉:ひび割れ診断におけるファジィ関係方程式の適用と逆解析、コンクリート年次論文報告集13-1(1991)、pp.497〜502.
[8] Lin、T.D、Love、H. and Stark、D.:Physical Properties of Concrete Made
with Apollo 16 Lunar Soil Sample、Proc. of American Institute of Aeronautics
and Astronautics (Oct.1987)、pp.361〜366.
[10] 金森・松本・藤代・八柳: 月面コンクリートのコストスタディ、将来の宇宙活動ワークショップ90/月面基地ワークショップ(1990.6)
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