1999年度回答集
26 | 質問者 | 匿名希望 武蔵工業大学,土木工学科,**川**道 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1),コンクリート演習 6章:せん断力を受ける部材,6-2:梁に作用する応力と耐荷機構 教科書p123〜126 | |
質問内容 | 荷重,断面力,応力という言葉が混乱しています. 再度,整理とわかりやすく説明してください. | |
回答; どこの大学でも土木工学科の学生は,1,2年次に梁の力学で,これら荷重/断面力/応力を学習しているはずですが,わからないうちに終わっているような気がします.このような梁部材の考え方を,今度は鉄筋コンクリート梁を題材に,改めて勉強し直してください.案外,すんなりとわかるかも知れません.
さて,荷重,断面力,応力を,英語訳も含めて,再度整理してみましょう. @荷重(force, load):構造部材に外からかかる力.梁部材の場合,その直交方向に作用する集中荷重または分布荷重が多い.(詳しく言うと,地震力,温度荷重など多くの種類があるが,ここで単純に図6-1にある荷重Pを考えよう) A断面力(sectional force):梁部材を輪切りにした断面に作用する力. これは,軸力(単位:N),曲げモーメント(N・m),せん断力(N)があり,お馴染みのものであるが,外からの荷重が作用したときの,梁部材内部で伝達される内力と考えてよい. B応力(stress):断面力による単位面積あたりの力.‘応力=断面力/断面の幾何学量’ にて算定できる.単純な場合は,式(2.1),さらには,式(6.1),(6.2)で計算できる.(ここでは,断面の幾何学量がわかりにくく,断面係数など応用力学を復習してもらいたい) 式(2.1):軸力→軸応力,式(6.1):曲げモーメント→曲げ応力,式(6.2):せん断力→せん断応力 のように換算され,いずれの単位もN/mm2に統一できることが特徴である.さらには,軸応力と曲げ応力は,ともに微少要素に対して垂直応力であるので合算される(その中味が軸応力が何%あるとか,曲げ応力成分が多いなどいうことは関係なくなる). さらに一般論として,3次元フレーム構造では,軸力,2方向の曲げモーメント,2方向のせん断力,ねじりモーメントなど,6成分の断面力が作用するが,これらを‘応力’に換算すると,すべて,微少要素(3次元で微少立方体)に作用する垂直応力とせん断応力に集約される. また,設計法の立場からは, ・許容応力設計法:上記のB応力(stress)をベースに,応力と許容応力を比較することになる.式(3.1)参照 ・限界状態設計法(終局限界):A断面力のベースにするもので,断面力と断面耐力を比べることになる(p.50:One Point アドバイス参照). 最後に,新幹線高架橋なり,長大橋梁,擁壁なりを見たとき(あるいはその上を走ったとき)種々の外力や自重を想定して,これによって, 荷重→いろいろな断面力→垂直応力とせん断応力 (いずれも,広義には‘力’と考えてよい) のような力の流れを想い考察してもらいたい,そして,過大な荷重が作用したとき,どこから崩壊が始まるかを想像してもらいたい.さらには,このような,梁部材の力学は,土木構造物のみならず,身の廻りの,例えば車のシャーシ,タオル掛けのハンガーなどたくさんあることを再度認識してもらいたい. さて,壊して差支えないもの,例えば,使い終わった割り箸を曲げ破壊またはせん断破壊させてみてはどうか.あるいは,黒板に使うチョークをねじり破壊させることもためになる. |
25 | 質問者 | 9817063 masanori shirako |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1):6章せん断力を受ける部材 教科書 P124~126, 6-2-2 ひび割れについて | |
質問内容 | すごく単純な質問なんですが,鉄筋コンクリートのひび割れで理論的には曲げ区間では最下縁から垂直方向に,曲げ+せん断区間で中立軸上では45°になるはずですが,実際の梁部材で曲げモーメントやせん断力が作用した時必ずこのような方向に発生するのですか?
また,阪神大震災時,阪神高速の橋脚があのように倒壊してしまった原因は何ですか? (単純な質問では,ありません.コンクリート工学では,本質的に重要な現象です.) | |
回答; まず,質問の内容を正確に記すと,
曲げモーメントが作用する場合:ひび割れは,最下縁(引張縁)から,垂直方向上方に発生する(これを0°する).
せん断力が作用する場合:中立軸上(曲げ成分がゼロ)で,純せん断状態となり,45°方向に発生. したがって,引張縁から中立軸までは,曲げモーメントによる曲げ応力とせん断力のせん断応力が混在し,両者の比率により,0°から45°に傾くことになる(このようなひび割れについては,図4 -2(b),図6-2(c),付図6-2を参照されたい) また,実際のひび割れは,連続してつながるが,コンクリート強度のばらつき(非均一性)により,ひび割れがギザギザしたり,枝別れ/合流などがある. さて,阪神大震災時の橋脚の震害であるが,原因については,諸説あり,他所に譲りたい.ただし,多くの橋脚を片持ち梁と考え,柱頭に水平力が作用したときの断面力分布(曲げモーメントとせん断力の分布)を考えれば,そこに発生したひび割れパターンを説明することができる. |
24 | 質問者 | 9817035 神谷(かみや) |
質問箇所 | コンクリート演習だったような…
教科書p.93 T型断面の曲げ終局耐力演習の6−2の問題 | |
質問内容 | T型断面の曲げ終局耐力の計算で,長方形断面と考える時とT型断面として計算する場合がありますが、長方形断面として扱った場合、T型の部分ではなく、もともと無い部分…(長方形断面−T型断面の部分)の断面は何も考えなくていいんですか?
T型断面の考え方が,まだよくわかりません. | |
回答; まず,長方形断面と考える時とT型断面として計算する場合の区別は,教科書を再度読み,「授業大質問コーナー」の19番の質問と回答とも併せ,再確認してもらいたい. 質問の趣旨は,「T型断面なのに長方形断面と考えてよい場合」,どうしてなのか?と解釈しましょう.これは,中立軸以下のコンクリート引張域は,計算に関係しないので,極端に言えば,あってもなくても,詰まっていてもT型でも,同じということになる. 従って,T型断面であっても,図4-10のうち(a)に該当する場合(中立軸ごフランジ内にある場合),長方形断面で用いた算定式をそのまま使ってよいということになる. ただし,実際には,引張側コンクリートはもちろん必要であり,例えば,引張鉄筋を保持しその機能を圧縮側に伝える,あるいは,主鉄筋/スターラップその他の鉄筋を保護し,腐食から守るという大切な役目がある.そのことがきちんとしていることを前提に,このような終局耐力の諸式が成立する. |
23 | 質問者 | 9717027 Eisuke Kaneko |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) | |
質問内容 | 曲げ終局耐力を求めるのに,無次元表示する意味は何でですか。 | |
回答; 曲げ終局耐力に限らず,無次元表示することは種々の利点があり,工学分野では常套手段である.まず,曲げモーメントを扱う場合について,3つの単位があることを復習しよう.
(以下の説明のため,曲げモーメント=M,断面の幅=b,断面の有功高さ=d,コンクリート強度=f'c,鉄筋の降伏強度f'yとする) @Mの実単位=力*長さ(kN*m,tf*m など):直接の単位であり,これが基本となる. AM/bd2=力*長さ/長さの3乗(N/mm2):完全な無次元化の一歩手前となるが,応力や強度と同じ単位となり,重宝する.図4-7a,付図5-2,式(4.22),式(4.29)〜(4.32)などを参照すると,その使い方がわかる. BM/bd2f'c=完全な無次元量:上記Aを強度で除しているので,無次元となることはすぐに理解できよう.図4-7b,図5-14,式(4.54)などを参照してもらいたい. このように無次元量にて表示すると, ・断面寸法(b,dなど)や材料強度と無関係に表示できるので便利である. ・従って,例えば,断面寸法でのmm,インチ,力の場合kgf,kN,ポンド,など,使用する単位に左右されない. ・ただし,実単位から離れてしまうので,実際の大きさの感覚がつかめないことが欠点でもある.例えば,曲げ終局耐力が100MN*m(メガニュートンメーター)の大断面の場合も,小さな断面で曲げ終局耐力が20kN*m(キロニュートンメーター)のときも,無次元量では同じよう(場合によっては,後者の方が数値が大きくなる)になってしまい区別がつかなくなる. ・以上のことは,せん断耐力など,他のケースにもあてはまり,これを6章のOne Point(p.137〜138) に説明があるので,熟読願いたい. |
22 | 質問者 | 9717092 藤田 大輔 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 1章:1-2コンクリート構造物の種類と構造 教科書:p.3,4,5 | |
質問内容 | マスコンクリートと無筋コンクリートって違うのですか?
(無筋コンクリートは,図1-1に説明があり,マスコンクリートは表1-1に分類されている) | |
回答; 簡単に言うと,「限りなく似ているけど,基本な定義が違う」ということになりましょうか.すなわち,
無筋コンクリート:鉄筋が入っていない(または必要としない)コンクリート. マスコンクリート:ボリュームがあるコンクリート.梁柱,壁部材,床板などと異なり,分厚いコンクリート. 現実には,無筋コンクリートが梁や柱のような構造部材として機能することはなく,重力式ダムや吊り橋のアンカレイジのようにマスコンクリート(3次元中実構造)となることがほとんどである.言い換えると,「無筋コンクリート」は多くが「マスコンクリート(3次元中実構造)」として,使われることが多く,「マスコンクリート」はほとんど「無筋コンクリート」である.すなわち,「限りなく似ているけど,基本的な定義が違う」ということである. さらに付け加えるのであれば,マスコンクリート(英語で,Massive Concrete)は,その部材寸法の厚さのため,水和熱の発生による温度応力が発生し,ひび割れに至ることがある.(英語で,温度応力:Thermal Stress, このときのひび割れを温度ひび割れ:Thermal Crackと呼ぶ).このため,マスコンクリート=温度応力(温度ひび割れ)の代名詞にもなっていることを付記したい. |
21 | 質問者 | 9817003 芦澤 正樹 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1)第2章 乾燥収縮を受ける鉄筋コンクリート部材 p35の図2-11(a)のnpとσcとσsとの関係 | |
質問内容 | 図2-11(a)のグラフを見るとnpが0のときに、鉄筋応力が発生するのは何故ですか?
nかpかどちらかが0なら無筋コンクリートではないのでしょうか? | |
回答; このような図を見る場合,例えば,np=0
というのは,np→0のときの極値と考えてもらいたい.(p=0のとき鉄筋は存在しないのに,鉄筋応力が発生するのはおかしい,という疑問は消えよう)対照的に,np→無限についても,同様に理解してもらいたい.
np→0の力学的な意味合いは,鉄筋量が小さいほど(p→0),鉄筋の弾性係数に比べてコンクリートの弾性係数が大きいほど(n→0),コンクリート側の剛性が優勢となり,鉄筋の応力(圧縮)が大きくなる.(このことは,図2-10のおいて,釣合い点cが限りなくa点に近づくということである) 言い換えると,np→0になるにつれて,鉄筋は,コンクリートの乾燥収縮になされるがままということである. 現実には有り得ないが,このような両極端(np→0,または,np→無限)を考えることは,大切なことであり,理論式を構築/理解/運用する上での基本動作である. |
20 | 質問者 | 9817094 菱沼 貴政 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 教科書P143の下から4行目(例題6.3の解答) | |
質問内容 | 「コンクリート負担分Vcdの方が安全率が大きく,真の値との乖離が大きい」,とあるが,
この安全率が大きいというのはこの解答のどこから読み取れるのでしょうか。 | |
回答; 一般に,安全率が大きければ,真の値(教科書では,生の値)から,設計用値への隔たり(乖離)は大きくなる.繰り返すが,「設計用値=真の値(生の値)/安全率,(安全率>1)」である.
例題6.3の結果(p.143)から,各負担分ごとに記すと, コンクリートの寄与分:Vc=11.0tf → Vcd= 7.8tf. 従って Vcd/Vc=70% せん断補強筋の負担分:Vs=16.5tf → Vsd=14.3tf. 従って Vsd/Vs=87% 上記のような結果は,もちろん,例題A(p.143)のような安全率(材料係数と部材係数)を使った結果に他ならない. さらには,対象とする項目(材料安全率では材料,部材係数では算定式)にばらつきが大きいほど,不確定なものほど,安全率は大きくなる.(すなわち,不安/心配/もしも/懸念が大きいほど,真の値に対して設計用値を小さくするのは,当然のことである) 特に,せん断耐力式に対する部材係数では, Vcdに対して,γbc=1.3, Vsdに対して,γbs=1.15 となっているが,これは,前者については,コンクリート寄与分の算定式にばらつきが大きく,地震時に低下することなどの理由で,後者のトラス理論による算定式に比べて大きくなっている. |
19 | 質問者 | 9817050 s-gomyo |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1),P.93 T型断面の曲げ終局耐力 | |
質問内容 | T字型断面で曲げモーメントをかけたときの中立軸の高さによって計算方法が2種類になるのは何故でしょうか? | |
回答; まずは,図4-10
(p.93)およびその説明をよく読んでもらいたい. 幅がbe ,高さがtの部分をフランジ(突縁),幅がb高さがd−tの部分をウェブ(腹部)と呼ぶことを再確認したい. このとき, x<t:中立軸がフランジ内にあるので,長方形断面となる(図(a)参照). x>t:中立軸がフランジの外,ウェブ内にあるので,T字型断面となる(図(b)参照). すなわち,中立軸より下方部分のコンクリートは関係しない(あってもなくても計算に入らない)ので,図(a)のような場合では,そのまま長方形断面とみなしても同じということになる. 一方,図(b)のように中立軸が,ウェブに及ぶと,圧縮コンクリートの断面幅が変化する変断面ということになる.このため,断面耐力の計算がややこしくなり,式(4.78)〜式(4.82)のような処理が必要になる. |
18 | 質問者 | 9817098 けんたろう |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) せん断耐力の算定 97年度過去問題集。 P60問3-2 (これは,内容的には,6章の例題6.3Bの設計変更と同じになる) | |
質問内容 | なぜ 153×Aw/S>1.278 となるのですか?
符号の向きの意味がわかりません。 至急教えてください! | |
回答; これは,6章の例題6.3Bの設計変更と同じということで,教科書のp.144のB断面の設計変更に関連して,回答します.
この場合,同ページの7行目にある, Aw・fwyd/s>29.7 にある不等号の向きを考えよう.これは,その3行上の,γiVd/Vyd<1.0 から順次導かれることを確認してもらいたい.(γiVd/Vyd<1.0の不等号の向きの意味は,わかっているとして.混乱したときは,3章ONE POINT アドバイス,p.50〜51を熟読のこと) 最終的には,Aw・fwyd/s>29.7 の解釈は, せん断補強筋の断面積Awが大きいほど, その降伏強度fwydが大きいほど, 配筋間隔sが小さいほど, Aw・fwyd/s>29.7を満足する, と考えればよいでしょう. |
17 | 質問者 | 9817053 sakata |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) せん断耐力の算定 教科書p144例題6.3B | |
質問内容 | スターラップの変更で,設計照査式を満足する鉄筋径,鉄筋規格,配筋ピッチの組み合わせを考えているのに,照査の判定結果が×のものが含まれているのはなぜですか。 | |
回答; 質問に対する回答は,単純に言えば,変更内容が不十分だったからです.すなわち,鉄筋径や鉄筋規格を上げるか,もしくは配筋ピッチを密に配筋すれば,OKになったでしょう.
これは,通常の設計では有り得ないことです.なぜならば,OKの場合(設計照査を満足する場合)のみが,設計書に示され,実際に施工されるからです(あたりまえのことですが). ただし,OKの場合のみが記された断面に至るまでは,設計担当者は,設計条件や材料条件などを勘案して,種々の断面を想定して,試行錯誤を繰り返していることを想像してもらいたい. すなわち,教科書の例題や授業での演習としては,学習上の効果を考えて,設計照査を満足する場合,満足しない場合を例示しました.このような演習を通して,設計条件を満足する断面は数多くあることを,まずは学んでもらいたい. また,実際の設計で行われている,試行錯誤の様子を体得することが肝要です.例題の背景や出題者の意図を理解してもらいたい. もし,このような設計手順に興味があれば,他の例題(3章の例題,p.59〜63)なども,目を通してもらいたい. |
16 | 質問者 | 9817059 サンちゃん |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1):12/21の授業 せん断耐力の算定(とくに,p.132 せん断補強鉄筋比pwの算定法) | |
質問内容 | 鉄筋比がpw=As/bwS となっていましたが,何故bwとsが関係してくるのでしょうか。 | |
回答; 鉄筋量(単位:cm2)を鉄筋比(単位:無次元)に変換するには,「ある断面積」にて除す必要がある.簡単に言うと,せん断耐力の場合,「そのせん断荷重を受ける断面」または,「せん断補強筋と直交する断面」ということになり,「腹部幅bw*補強筋の間隔s」が,せん断補強筋1組あたりの断面ということになる.
これは,なかなか理解しにくいので,次回の授業で3次元的な図解にて,説明したい.もし私が忘れていたら,その旨授業中に言ってもらいたい(年明けのこと故,たぶん忘れちゃうと思う). さて,ここで,もう少し理解を深めるために,鉄筋比の定義を整理してみよう. これは,今回質問のせん断補強も含め,次の3とおりに分けられる. @圧縮部材(全断面有効):鉄筋比=鉄筋面積As/全断面積Ac (例えば,2章,p.31〜) A曲げ部材(RC断面):鉄筋比=主鉄筋の断面積As/断面積b*d (例えば,4章,p.72〜,またはp.82〜) Bせん断部材:鉄筋比=せん断補鉄筋の面積As/断面積bw*s (例えば,6章,p.132〜)いずれも,分母となる「ある断面積」とは,「対象とする荷重を受ける受圧断面」または,「対象とする補強筋と直交する断面」となっていることが判断されよう. |
15 | 質問者 | Teppei Asato |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1)の課題 例題6.3:せん断耐力の算定 B断面の設計変更,での単位の使い方 | |
質問内容 | 今度の課題(P142 例題6,3)について質問があります。
P144の7行目に 「Awfwyd/s≧0.580×10の3乗を満足する組み合わせ・・・・」とあるのですが、どうしてそのままの値“0.580”をつかわずに、後ろに“10の3乗”とつくのですか?? もしかして、単位(tf)がからんできているのですか?教えてください。 | |
回答; そのとおり,荷重の単位として,tfをkgfに変えるため,10の3乗が必要になる. このようにすると,その他の記号が,Aw:cm2,fwy:kgf/cm2,s:cm,d:cm のように,普段使っている単位系で計算することができるので,分かりやすい. 他のやりかたもいろいろあるが,教科書例題の演算方法をつよく勧める.さて,ここで,単位系の使い方など,注意点をいくつか列挙しよう. @単位系は,従来単位の場合,tf,m でも,kgf,cmでも,なんでもよいが,一連の演算のなかで,統一的に行うこと. Aとは言っても,まづは,教科書の例題の単位と演算方法が一番分かりやすく,ミスも少ないので,とりあえずは,これにならってもらいたい. Bこれは,kgfとcmを基本にするもので,荷重系(力とモーメント)を 1tf=1*10の3乗kgf,1tf・m=1*10の5乗kgf・cm のように変換すれば,後は難なく使いこなせる. Cただし,時代の趨勢もあり,来年度から本格的に国際SI単位を導入することを予定している. |
14 | 質問者 | 9817060 やす |
質問箇所 | コンクリート演習 問題4.2(曲げ終局耐力の数値解析とグラフ化) 曲げ耐力(コンクリート圧縮破壊型:over-reinforcement)の中立軸比kの算定方法 | |
質問内容 | 破壊形式がover-reinforcmentのときの中立軸比に関する公式(式(4.58))でkを導き出す時は,プラスの値を取るんですか?マイナスの値を取るんですか?
また,どのような場合にkを小さな値にとるんですか?授業の時は,よく理解出来なかったんでもう一度説明して下さい。 | |
回答; 結論から言うと,中立軸位置というのは長さであるので,当然,正の値(プラス)をとることになる.
式(4.58)は,kに関する2次方程式になるので,通例根が2つ存在する(このs式の場合,正と負の解が存在する)が,上記の理由により,長さ(距離)で負というのは有り得ないので,正をとることになる. ところで,2次方程式と言えば,以前に終局耐力が与えられたとき鉄筋比を計算する場合,鉄筋比p(または鉄筋係数Φ)の2次方程式を解いたことを覚えていると思う.このときは,正となる2根が算出され,小さい方を採用した.ただ,この2次方程式と,今ここで回答しているkに関する2次方程式(式(4.58))は,全く別物であることを注意してもらいたい. |
13 | 質問者 | 匿名希望 吉川弘道 (このコーナーの質問が少ないので,自分で入れたが,やはり何か寂しい) |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 6章せん断力を受ける部材 6-2-2梁部材の応力分布とひび割れ | |
質問内容 | せん断ひび割れが,なぜ斜め45°方向に発生するのか,まだ理解できません.
授業では,主応力で説明していましたが,これがまずわかりません. | |
回答; #1:大切なところです.順番に説明しましょう.まずは,主応力の話から.
単位微少要素には,直応力σとせん断応力τ(せん断力ではない)が作用しており,これらがこの単位要素の切り出す角度によって変化するということをまずわかってもらいたい. ただ,その変化の仕方はもちろん,きちんとした規則があり,これを式およびモールの応力円で理解する必要がある.(このことは,材料力学や応用力学の教科書(前の方に)に必ず書いてあるので,再度確認されたい.) そして,大切なことは,ある角度で切り出すと,せん断力がゼロで直応力のみが存在するときがあり,この時の直応力を主応力,その角度を主角と呼ぶ. 主応力は,その大きさがどのような切り出し角度よりも大きく,最大値をとるため,理論的(または破壊を考えるとき)に非常に大切となる. 今,授業では2次元平面を考えているので,主応力は2つあり,大きい方を第1主応力,その次を第2主応力と呼ぶ.または,主引張応力,主圧縮応力などと称する.(引張を正としていることに注意されたい). #2:次に,ひび割れ発生条件と45°の斜めひび割れを説明しよう. 従って,第1主応力は,引張となることが多く,この第1主応力が,引張強度を超えるような大きなものになると(σ>ft),ひび割れの発生となる.そして,そのときの角度(主角)の直交方向にひび割れが伸びることになる.(このことは,モールの応力円で説明したことを復習してもらたい) 一般に,せん断力V(せん断応力ではない)が作用しているとき,その梁の中立軸付近では純せん断(pure shear)状態になったおり,したがって,その位置から45°方向が主角となり,ひび割れの発生角度も45°となることは,容易に理解できよう.ただし,どちら方向(時計廻り,反時計廻り)の45°に発生しているか,注意してみることが必要である. |
12 | 質問者 | 9817057 佐藤 健人 |
質問箇所 | コンクリート演習:問題4.2(曲げ終局耐力の数値解析とグラフ化)
86頁の式(4.58)と74頁の式(4.15)について | |
質問内容 | 曲げ終局耐力(over-reinforcementの場合)を求める時、式(4.59)から求められますが、その時用いる中立軸比kは式(4.58)から求めても、式(4.15)から求めても同じになるんですか? | |
回答; 質問の内容は,中立軸位置の計算方法ですが,式(4.15),式(4.58)ともに,曲げ部材の中立軸比を表すものではあるが,これら両式は異なる状態の断面を仮定しているため,区別して考えなければならない.
回答としては,式(4.59)による曲げ終局耐力(over-reinforcementの場合)では,もちろん,式(4.58)によって中立軸比kを求めなければならない. ここで,両式の背景を整理してみよう. 式(4.15)---弾性解析(RC断面)の断面仮定から得られる.従って,弾性係数比nは含むが,材料強度は含まれない.(基本的に弾性解であり,鉄筋,コンクリートともに材料の破壊(降伏)までには達していないということである) 式(4.58)---これは,終局耐力に関するもので,等価応力ブロック法,しかも過鉄筋でコンクリート圧縮破壊の場合(コンクリートは終局状態に達したが,鉄筋はまだ弾性状態)から,得られている.このため,式(4.58)には,鉄筋については,鉄筋比pと弾性係数Es,コンクリートについては,圧縮強度f'cと終局ひずみε'cuなどを包含している. 以上,細かいことのように思えるが,式の展開と得られた結果を,一つ一つ丁寧に,力学的意味と関連しながら学習してもらいたい. |
11 | 質問者 | 受講生の疑問を代弁して:吉川弘道
(自分で質問して,自分で答えるのも,何か寂しい気もするが.) |
質問箇所 | コンクリート演習 問題4-2:曲げ部材の設計と解析 (曲げモーメントの終局耐力に関する計算と図化) | |
質問内容 | 問題4-2では,計算/図化の際,鉄筋規格2種類とコンクリート強度2種類により合計4種類の計算条件が与えられている.
このため,4つの曲線が得られますが,縦軸と横軸の表示を変えると,何故,これら4曲線が,2曲線,最後は一つの曲線に集約されていくのでしょうか. 何となくわかるのですが,分かりやすく説明してください. | |
回答; ;
問題4-2の作図例を見ながら,考えてもらいたい. まず,図1(実単位による表示)では,鉄筋の降伏強度(SD30, SD35)ごとに計算するのは当たり前ですが,これら合計4セットを同一図中に作図すると,わかりにくくなるため,(a), (b)のように分けた. 次に,図2では,横軸を,pfyとするため降伏強度fyも込みになるので,fyの値の区別がなくなり,2セットとなる. さらに,図3では,コンクリートの圧縮強度を含んだ「力学的鉄筋比pfy/f'c」を用いているので,このf'cの区別がなくなり,ただ一つの曲線に集約される. 従って,図3では,縦軸的には,断面寸法(b,d)の区別がなくなり,横軸的には,材料強度(f'c, fy)の区別が消失していることを再度確認されたい. この図3に対して(先ほど数名の学生の質問で気がついたのだが),教科書p.86, 図4-7(b)の無次元表示と(横軸的に)異なっていることを見てもらいたい. 例えば,釣合い鉄筋比を見ると,配布資料では,pb=0.36〜0.37程度であるのに対して,教科書 図4-7(b)のそれは,pb=0.461と記してある. これは(無次元表示の場合,材料条件に関係しないとは説明したものの),鉄筋の降伏ひずみεyに関係する(式(4.46)に注目)ので,SD30(εy=0.00143)とSD35(εy=0.00167)で, 無次元量表示でも異なるということになる. なお,このような無次元量を用いることの有用性については,p.137のOne Point アドバイス「力学的鉄筋比の活用法」に詳述したので,必ず一読して,納得してもらいたい. 要約すると,@大小異なる断面や種々の材料条件(圧縮強度,降伏強度)などに共通的に使えること,A単位系(メートル系,SI単位,ヤードポンド系)に左右されない,B設計条件によらない共通的な数値を使える,などの利点がある. さて,これはタフな課題ではあるが,次回講義(コンクリート演習)12月21日に,全員提出することを望む. |
10 | 質問者 | 9817002 安里 哲平 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 曲げモーメント受ける部材:P70 | |
質問内容 | #1:
本文中に鉄筋は“適当量配置”が望ましい、と書いてあるのですが, 具体的に鉄筋の太さ・長さ・量・配置とかはすべて規定されているのですか??
#2: また、最近よく聞くニュースで「トンネルのコンクリートの落下」とありますが、 施工上の理由のほかに何かあるのですか?? | |
回答; 質問の内容は,#1と#2に分けて回答しましょう.(ただし,#2は現在鉄道関係で問題になっており,マスコミで大きく報道されているのは,よく知ってのとおり.その回答は難しい.)
#1:鉄筋の“適当量配置”について. これは,p.70の「D:最大荷重近傍」の記述にある,適当量配筋(under-reinfrocement)と過大な鉄筋(over-reinforcement) のことを質問しているのでしょう. まずは,適当量配筋していれば,万が一のとき安定的に破壊する(靭性に富む)のに対して,過大な鉄筋量を配すると引張鉄筋が降伏せず,これは,きわめて脆性的で危険である,ことを頭にいれてもらいたい. それでは,この適当量(under-)と過大(over-)はどこで区別されるのか? これについては,12/8に学習したとおりである(p.82〜84).すなわち,「釣合い鉄筋比pb」を計算し,実際に断面に配筋される鉄筋比pとの関係にように, p<pb:適当量配筋(under-reinfrocement) p>pb:過大な鉄筋(over-reinforcement) のように区別される.(注意:ここではbは下添え字だが,このHP上の文章ではできないので,このような表示になっている.念の為に注意を.) 従って,構造設計上は,鉄筋量Asまたは鉄筋比pが規定されており,質問にある '鉄筋の太さ・長さ・量・配置'のすべてを決める必要はない.ただし,太さと配置は構造細目としてのルールがあり,一例として,付録V鉄筋の構造細目(p.254〜)を参照されたし. このように釣合い鉄筋比pbは,最大鉄筋比に相当するものであるが,一方ではあまり少ないと「鉄筋コンクリート」にならないので,今度は最小鉄筋比の規定が必要である.したがって,断面に設計される鉄筋は,これら最小鉄筋比と最大鉄筋比の間に設計されなければならない. 具体的には,4-5標準示方書による設計法(p.94〜95)を参考にしてもらいたい.まとめると,「配筋される鉄筋は,多からず少なからず,ほどほどに」ということになる. #2:「トンネルのコンクリートの落下」について. これについては,今年になって次々に落下事故が報告され,社会的にも重大な問題になっている. まず,最も多く指摘されているのは,「コールドジョイント」が大きな原因となっている,ということである. これは,「施工不良個所」という日本語で訳されているが,本来の意味は,「施工(打設)がある時間以上中断し,もしくは締め固め不良か材料の流動性が不十分なことにより,不連続部が生じたこと」を指す.これにより,長期の耐久性が問題となり,漏水/美観上も好ましくはなく,ときに剥離/落下の原因となる. したがって,これは,材料,施工が原因していることになる. また,一方では,ごく最近の事故例として,トンネル上部のコンクリートが,ピラミッド状もしくは円錐状に剥離落下していることが報告されており,これまでの剥離落下したコンクリート塊と異なっていることがわかる.(この場合は,構造上の問題として,認識する必要があるのでは) これは,一般には,押し抜きせん断(英語では,その名も punching shear なる勇ましい名前がついている)と呼ばれており,集中荷重を受ける床板(スラブ)に多く見られる(これは,教科書のp.176〜178を参照されたい.とくに,図8-6に破壊面が図示されている).この押し抜きせん断が,鉄道トンネルに見られたことに,非常に驚き,ショックでもあった. この件については,今後種々の調査結果,解析,対策等,報告されるので,コンクリート工学上の問題点として注目されたい. |
9 | 質問者 | 9717112 吉田 絵美 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 教科書p.71 表4−1 | |
質問内容 | UとVには,どのような違いがあるのですか。
また,どのように使い分けるのですか。 | |
回答; 基本的には,教科書に示したとおりだが,
曲げ問題では大切な個所なので,再度整理しましょう. 状態U:弾性解析(RC断面)→ひび割れ発生後の使用状態を想定したもの. 圧縮コンクリート,引張鉄筋ともに,許容応力度以内. 状態V:弾性解析(RC断面)→断面の終局状態を想定したもの. 圧縮コンクリートは限界ひずみに達し,引張鉄筋はとっくに降伏している(under-reinforcementの場合). これらについては,表4-1を参照するとともに,図4-2において,状態UはC:ひび割れ進展段階,状態VはDまたはE:終局状態に対応していることを再度確認していもらいたい. さらに,状態Uは図4-3(p.73),状態Vは図4-4,5(p.83)にて具体的にモデル化していることも学習されたい. |
8 | 質問者 | 9817123 マチコン |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1)
授業用教材:アクリル樹脂製鉄筋コンクリート梁(下記http参照) http://c-pc8.civil.musashi-tech.ac.jp/RC/kyouzai.htm | |
質問内容 | 今日の授業で使った鉄筋コンクリートの教材について
アクリルの教材では鉄筋の配置が,途中で沈み込んだ形で左右対称になっていたのはなぜですか? (なぜ一直線ではないのですか?) | |
回答; 授業内容とは,直接関係はありませんが,良いところに気がついたと思う.
これには,2つ原因が考えられる. まず一つは,単に製作上の誤差です. 指摘の鉄筋は,ステンレスの細棒(sus404)を加工/特殊溶接して,鉄筋籠として組上げたものですが,どうしても変形,曲がりが生じてしまいます.特に,細長いものは曲がりやすい. さらには,気がついたかもしれないが,このステンレス製鉄筋籠は,宙に浮いた状態でアクリル樹脂に埋め込まれている.したがって,アクリル樹脂の注入時に沈み込んだことも考えられる.(この製作上のノウハウは明らかにできないが,いずれにしてもそう簡単には作れない.) もう一つの原因は,ひび割れを生じさせたことにある. ひび割れ模型の場合は,梁部材中心付近,下面(引張縁側)に3個所の切り欠き(3cm間隔)を設け,曲げ載荷により曲げひび割れを生じさせようとした.しかし,(当たり前といえば当たり前だが),ひび割れは中央の一本だけに生じた(アクリル樹脂は,コンクリートに比べてさらに脆性的であるがため).結果として,残留変形は,中央断面で折れたような形状になり,このため,圧縮鉄筋は中央で沈み込んだような格好になってしまった. 今後も引き続き,このような模型を作りたいが,やはりアイディアと製作方法に工夫が肝心で,学生諸君らの知恵を借たい. |
7 | 質問者 | 9817116 森谷 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 第2章:鉄筋とコンクリートの材料力学 2-2-2コンクリートの性質 | |
質問内容 | コンクリートの単位体積重量が大きいとヤング係数が大きくなる事について定式化や図式して説明して下さい。 | |
回答; 質問の内容は,「コンクリート材料について,その単位体積重量とヤング係数(弾性係数)との関係を知りたい」,と解釈できよう.
単純に言えば,単位体積重量が大きい(密実で重い)ほど,ヤング係数は大きく(硬く)なる. これを数式として表したものとして,建築学会「鉄筋コンクリート構造計算基準」の関係式があるので,確認してもらいたい(グレーの教科書:p.27, 式(2.16)). これに拠れば,単位体積重量(厳密に言えば密度)を2.3で正規化し,ヤング係数(弾性係数)が,その1.5乗に比例していることがわかる. この「1.5乗に比例」によって,単位体積重量がヤング係数(弾性係数)に与える影響の度合いを類推できるとともに,質問者への回答となるでしょう. また,付け加えるのであれば,普通コンクリートを用いた場合,密度(単位体積重量)は大略2.3〜2.4であるので,あまり大きな違いはない. |
6 | 質問者 | 9817060 ごんべいさん |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 72ページ 力の釣り合い (式(4.9),(4.10)のことでしょうか) | |
質問内容 | 水平力の引張鉄筋とモーメントの引張鉄筋符号が,違うのは何故ですか. (まず,の質問を正確に書くと,’水平力の釣合いを考えるとき(式(4.9))の引張鉄筋と曲げモーメントの釣合いをとるとき(式(4.10))の引張鉄筋の符号が違うのは何故ですか’,ということになる) | |
回答; まづは,図4-3を3分間じっとみつめて,3成分(圧縮コンクリートの合力C'c,圧縮鉄筋の合力
C's,引張鉄筋の合力T )に関する方向をよく理解してもらいたい. 整理すると,次のようにまとめられる. *** 水平方向の釣合い(教科書紙面の左右方向に対して): 圧縮コンクリートC'c:左向き,圧縮鉄筋 C's:左向き,引張鉄筋T:右向き となっているのに対して, *** 曲げモーメントの釣合い(中立軸廻りで考えて): 圧縮コンクリートC'c:半時計廻り,圧縮鉄筋 C's:半時計廻り,引張鉄筋T:半時計廻り となっていることを確認されたい. 言い換えると,水平方向の外力(これは,梁部材の場合軸力になるが)がないので,C'c+ C's= T の釣合い関係になっているの対して,曲げモーメントの場合,時計廻りの外力モーメントMに対して,C'c,C's,T の3成分すべてが半時計廻りで対抗しているとして理解しもらいたい. 以上の考察のもと,再度,式(4.9),(4.10)の妥当性をチェックしてもらいたい. |
5 | 質問者 | 9817100 牧野雅文 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) ひびわれ (これは,’ひび割れ’と書くことになっている) | |
質問内容 | ひびわれに,最も影響する要因て何ですか?
うーーん,難しい質問だ.質問の意図は, ’どういう場合,ひび割れが発生しやすいか’,または’ひび割れの発生条件’ というように解釈して,回答しましよう. | |
回答; ひび割れは,ある場所(ある要素)に生じている引張応力σが,そのコンクリートの引張強度ftより小さければ発生せず,ftを超えれば発生ということになる. したがって,これを式に示せば, σ<ft:ひび割れ発生せず σ>ft:ひび割れ発生する ということになる.(きわめて,単純な条件でしょう) これは,単純に引張った場合,曲げモーメントを与えた場合,いずれも同様で,第10章ひび割れと変形,に詳しく書いてあるので,読んでもらいたい.(例えば,図10-2(p.202).または,1章:図1-5(p.11)なども参考になる) また,乾燥収縮によるひび割れ(p.34,35)についても,同様の発生条件式を提示しているので,各自の講義ノートを確認されたい. さて,ここで,質問の趣旨に戻り,ひび割れ発生に影響を与える条件は,どういうことになるか. 上式から判断されるように,内部の引張応力σが大きいほど,コンクリートの引張強度ftが小さいほど発生しやすいことになる. 前者の引張応力σは,種々の応力解析によって得られるが,後者の引張強度ftは,式(2.13), p.26 によって与えられ,これが圧縮強度の関数となっていることがわかる. また,一般にコンクリートの強度(圧縮強度,したがって引張強度も),材齢の増加とともに増大するもので,このため,材齢初期では強度が不十分で,ひび割れが発生しやすいといえる. ****牧野雅文君,以上の回答で納得できたでしょうか. |
4 | 質問者 | 9817120 Hiroaki Yunoki |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 4章曲げを受ける部材の解析 | |
質問内容 | ひび割れ断面で断面保持が成立するのですか. (質問の趣旨は,断面の’平面保持’のことだと思います) | |
回答; 質問の内容を整理すると,「曲げ解析において,断面内のひずみの直線性(平面保持の原則)が,ひび割れの生じた場合にも,成立するとしてよいか」ということです. (例えば,式(4.3),(4.4),(4.5)のように,ひずみの直線性を前提とした式が成立するかということ) 答えは,YESです. これは,4-3:曲げ部材の弾性解析(RC断面)に限らず, 4-4:曲げ部材の終局耐力(p.82から)でも当てはまる大前提です. 詳しく言うと,ひび割れ断面だけの局所的には,成立しないかもしれませんが,梁部材の長手方向の平均ひずみをとると,ひび割れ以降,断面の崩壊(図4-2のD:最大荷重近傍,およびE:終局状態)まで,成立するということが定説となっている. |
3 | 質問者 | 9817090 西尾 成巳 |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1) 鉄筋比の考え方と計算方法 | |
質問内容 | p=As/Acとp=As/bdは,どのように使い分ければ良いですか? | |
回答; 鉄筋比の計算方法が2つあり,どのように使い分けるかということが,質問の趣旨でしょう. 簡単に言うと, 1.全断面有効の場合(全断面圧縮応力のとき,またはひび割れがない場合)では,全断面Acが分母となり,このときの鉄筋比は,p=As/Acとなる. 2.RC断面の場合(曲げモーメントを受け,断面にひび割れが入っている場合)では,圧縮縁から,引張り鉄筋までの有効高さdまでが,有効断面となり,このときの鉄筋比は,p=As/bdとなる. 具体的に言うと,2章:2-3鉄筋とコンクリートの複合材料学(p.31から41)の範囲では,上記1のように鉄筋比は,p=As/Acとなる.また,4章:曲げ解析では,p72以降,ひび割れ断面を取り扱うので,上記2に該当し,鉄筋比はp=As/bdとなる. このことは,図4-2(c)をよく見てもらいたいが,部材高さに関して,A:純弾性状態で全高さ(これはHとしている)のに対して,C:ひび割れ進展状態では,有効高さ(これはd)としていることに注視された. ****さて,西尾成巳君質問ありがとう.ほかの受講生諸君,質問を待っている. |
2 | 質問者 | コン研3号(学籍番号9605022) |
質問箇所 | 鉄筋コンクリート(1),(p14)2章 式(2.3) | |
質問内容 | 式(2.3)* ポアソン比=−(横ひずみe2/軸方向ひずみe1)ポアソン比の定義式には、なぜマイナスがつくのですか? | |
回答; 荷重方向のひずみe1とその横方向に生じるひずみe2
は,必ず異符号となるので,両者の比が正符号(または絶対値となるように)するため,マイナスを付けている.両方向のひずみが,異符号になるということは,ある方向に圧縮させればその横方向に伸び(せり出し--饅頭を想像してもらいたい),引張ればその横方向に縮む(平ゴムを引張ればどうなるか)ことを意味する. ****さて,Q&Aの例題として,とりあえず2個の質問と回答をこちらコンクリート研究室で用意した. 受講生は,これらを参考に質問を投稿してもらいたいが,「---がわからない」,「----を教えてもらいたい」のような,質問は授業中にお願いしたい.「実のある質問」を待っている. |
1 | 質問者 | コンクリっ子(学籍番号不明) |
質問箇所 | 教科書 P27 例題2.3のうち,問題e | |
質問内容 | この問題は解き方がわかりません。どこを勉強すればいいですか? | |
回答; 質問のとおり,ここはまだ学習していないので,教科書p31からの2-3-1.圧縮力を受ける鉄筋コンクリート部材」
を勉強されたし.ここでは,鉄筋とコンクリートの性質(弾性係数)の異なる材料を同時に取り扱うことになるので,少し難しくなる.とりあえず,弾性係数比nを活用して回答されたい.
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過去の回答集 |
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2003前期
0件 |
2003後期
24件 |
2004前期
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2004後期
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2001前期 |
2001後期
16件 |
2002前期
10件 |
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1999年度後期
26件 |
2000年度前期
15件 |
2000年度後期
#1-30 |