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2002年度前期回答集

10
質問者 0017063
高野佳三
質問箇所

鉄筋コンクリート(2)
11章:耐震設計法
教科書P202の
図11−6のうち,「コンクリート標準示方書」による塑性率/靭性率

質問内容 授業で図11−6のμrdを応答塑性率 μdを保有靭性率としていましたが,
塑性率と靭性率では意味が違うのになぜ同じμで表されるんですか?
回答:

高野君,いいとろに気がついた. 最初は,だれもが,疑問に思いところ.

@ まずは,この2つの用語の定義を再確認.
・塑性率,応答塑性率:ある地震荷重による変位.通例,最大変位を考える.
・靭性率,部材靭性率:その部材が崩壊するときの終局変位.部材の最大変形能力.

A 上記2量は,いずれも,
応答塑性率=応答変位/降伏変位,部材靭性率=終局変位/降伏変位
のように,部材降伏変位にて,割り算(正規化)している

B従って,耐震性照査では,
応答塑性率μrd<部材靭性率μd:安全,崩壊しない.
応答塑性率μrd>部材靭性率μd:危険,崩壊する.

該当する設計式としては,コンクリート標準示方書の場合,
式(11.9a)(p.202) と いうことになる.

Cさて,質問事項の「なぜ同じμで表されるんですか?」については,
・同じ土俵にのる概念なので,同じ記号としており,添え字で使い分けている.
・これまでの耐震設計の慣習として,同じ記号が使われ,時として,混同されてき た.
としか,答えようがなく,決して間違っていないが,適切とは言えないと思う.

それでは,このことは,昨今の,鉄筋コンクリート構造物のに関する震設計
(詳しく言うと,靭性設計)の特徴というか,キーポイントです.

質問,投稿ありがとう.

9
質問者 0017039
黒坂 正和
質問箇所

鉄筋コンクリート(2)
紅白の教科書 p.197
11-2-1 RC単柱の崩壊過程
図11-3 (a)曲げ破壊

質問内容 鉄筋コンクリートの橋脚が曲げ破壊を起こすときに、主筋降伏,塑性ヒンジ発生とありますが、
塑性ヒンジという状態がイメージしずらいです。
これはどのような状態なのですか?
回答:

そうだったな,こちらは,もう,実験で経験しているので,わかりきっていたが,初めて聞く学生にはわかりにくようだ.

塑性ヒンジとは,
@ 大きな地震荷重(主筋降伏を超え,繰返し作用する地震荷重)に対する損傷状態を示す.

A このような,過酷な繰り返し変形によって,橋脚のある断面(一番大きな曲げモーメントを受ける断面)が,ヒンジ状態になること.

Bこのような,ヒンジ状態は,不静定構造物の崩壊過程に出てくるもので,n次不静定構造物は,n+1個のヒンジ出現によって,崩壊(不安定化)する.

C ただし,鉄筋コンクリート部材における塑性ヒンジとは,塑性化のあと,
曲げモーメントに対する耐荷力は増大しないが,急激な減少ももたらさないこと,
すなわち, 粘り強さを保持していることを前提としている.

Dこのためには,横補強筋(帯鉄筋,らせん鉄筋)によるコアコンクリートの保持に関する,
適切/十分な配筋が重要である.

8
質問者 9917070
佐野 昌義
質問箇所

鉄筋コンクリート(2)
期末テストについて

質問内容 授業で
@ 「S-N線図」,
A 「例題 10.3q〜M〜σse〜wcrの関係」,
B 「図8-6曲げ引張ひび割れを有する梁の変形挙動と曲げ剛性の変化」
など様々な図を使って学びましたが、テストで図を作成する問題はありますか?
回答:

工学問題は様々な,図,表,ダイヤグラム,など使うことが効果的であり,頻繁に使う道具である.
従って,『図表を制するもの,鉄筋コンクリートを制す』と心得てもらいたい.

質問は,テストの出題に関する内容のような気がするが,出る出ないを,直接には答えられない
(テストの後であれば,お答えします)
が,図で理解することは,一番,理解しやすい近道(従って,最も点が取れる)方法と考え,精進願いたい.

そう言っても,やはり何かヒントみたいなものを(先生も人の子).
上記3つの問合せのうち,
@ 直接/間接的に重要必須事項.

A 「例題10.3」 とは,グレーの教科書のことで,紅白の教科書では,「例題8.3」のこと.
ただし,これは,今回の出題範囲外です.

B @と同じく

追伸: 佐野君.初めて(と思うが),本欄への投稿,ありがとう.
試験前になり,ラストスパートというか,気合が入ってきたようだ.
ただ,惜しむらくは,これが,学期始めから,ダッシュして欲しかった.

健闘を祈る!!

7
質問者 0017036
日下部澄音
質問箇所

鉄筋コンクリート(2)
期末試験の範囲

質問内容 6章のせん断についてはどんな問題が出ますか?
6-1をよく読めば良くできますか?
回答:

いやー,なぜか,授業でやっていない, 「6章:せん断力を受ける部材」を試験範囲としてしまった.

これについては,

1.「せん断」は大切であるということのメッセージとして,まずは認識していただき,真剣に学習して欲しい.
特に,今回の期末テストの範囲である,橋脚(柱部材)の耐震設計については,せん断破壊(を回避するため)が,
必須条件である.

2.それゆえ,将来,ゼネコン,コンサル,役所,など,どこのセクションでも,「せん断」は キーポイントとなる.

3.さて,肝心の出題箇所ですが,試験に出るのは,ズバリ,『せん断スパン』です.
ただ,本当は,「6-1梁に作用する応力と耐荷機構」をよく読んでもらいたい
(事実,他の分野,鋼構造,応力にも役に立つこと請け合い).

4.今回の試験問題は,やさしいので,全員,良い点をとってもらたい.

6
質問者 g0017061
SOBU Masafumi
質問箇所

鉄筋コンクリート(2)
5−3−2: Mu-N'u破壊包絡線 (p.88〜92)
課題:相互作用図(Mu-N'u破壊包絡線)の作成

質問内容 相互作用図のグラフを求めるエクセルのやり方を教えてもらいました。
従来単位をSI単位に変えて計算をするのですか?
回答:

本授業では,基本的にSI国際単位を使っていることは,承知していると思う.
ただ,HPにある例題は,従来単位となっている(更新必要がありますが).

また,このようなプログラムは,単位系は,ユーザーが決めます.
つまり.入力した単位系がそのまま出力の単位になるということ.
(ただし,プログラム内部に固有の数値を,固有の単位で使っていると,注意が必要です)

従って,単位については,入力者(ユーザー)が責任と権限ともつということで.

5
質問者 0017072
谷山 大士
質問箇所

鉄筋コンクリート(2)
5−1:中心軸圧縮柱の耐荷力 (p.77〜)
例題5.2 帯鉄筋柱の耐荷力 (p.81〜82)

質問内容 問題文で,幅Bの値を39.4cmを40cmとすると書いてあります.
ここで,
なぜ値を変えてもいいんですか?
また,どのくらいまで値を変えてよいのですか?
回答:

1.まず,この問題の解き方を分析してみてもらたい.
これは,
「最大耐力が与えられていて(ここでは,N'=4.5MN),これに見合う柱の断面を設計せよ」
ということ.
ここでの設計上の未知量(言い換えると‘あなたが決めていいこと’)は,断面の幅Bと鉄筋量Ast(または鉄筋比pst)です.
したがって, 未知量は2個となり,与えられた設計耐力を満足する解は,複数個(実際,無限個の)組合わせが考えられる.

2.このため,まずは,鉄筋比を仮定して,幅Bの概算値を見つけている.
そして,計算から得られた数値のは,たいてい,39.4cmのように半端な数になる.
実際の構造物はもちろん,40cm,45cm,50cm,etc.のように ‘ちょっきり’した寸法にする必要があることは,理解できると思う.

3.ここで,‘どのくらいまで値を変えてよいのですか?’ということについては,
計算から得られた数値に対して,これより少し大きくて,ちょっきりした寸法ということになる.

4.なお,上記1.のように,鉄筋比を最初に仮定しなくても,この問題は解ける.
いきなり,幅Bを仮定して,見合う鉄筋量(断面積Ast)を決めればよい.
ただし,このときは,どの程度の鉄筋比になるかわからず,構造細目にある0.8〜6.0%のい間に入らないかも知れない.
それに,やはり,スマートな設計方法とは言えないでしょう.

4
質問者 0017036
日下部 澄音
質問箇所

鉄筋コンクリート(2)
5章:軸力と曲げを受ける部材
(5/13の課題 軸力と曲げモーメントの相互作用図)

質問内容 圧縮鉄筋比が0の時のMuの値(エクセルでグラフにしたもの)を,
教科書p70の例4.3の手計算の結果と比較したとき、同じ値になりませんでした。
同じにならなくていいのですか。
回答:

紅白の教科書の,p70の例4.3の計算結果は,言わば,軸力がゼロの場合である.

したがって,
5章での今回の課題(M-N相互作用図)にて作成したグラフ(MNExcel.xls)において,
横軸を横切るとき (N' = 0 のとき)の,終局曲げモーメントと合致しなくてはいけない.

このことは,

・圧縮鉄筋がない場合(単鉄筋長方形断面),
・圧縮鉄筋がある場合(複鉄筋長方形断面)

にかかわらず, そうならなければならない.

3
質問者 0017059
諏訪裕哉
質問箇所 鉄筋コンクリート(2)
5章:軸力と曲げをうける部材
質問内容 5月7日課題 
相互作用図 (軸力と曲げを受ける部材の破壊包絡線)

相互作用図をエクセルで図表化するとき,
複数の解析ケース(鉄筋比,コンクリート強度) で計算したものを
同一のグラフ上に表示する方法がわかりませんでした。

5月15日昼休みに,コン研の院生(TA)の方に,教えてもらい,理解しました。
回答:

Ok,OK. これは,やはり,現役の大学院生に聞くのが,一番.

所定のプログラム(MNExcel)を

http://c-pc8.civil.musashi-tech.ac.jp/RC/xls/MNExcel.xls

から,開いたら,これを各人のハードディスクに保存する.

このあとは,それぞれの解析条件に従って,複数の解析シミュレーションを行う.

そのあとの図化処理は,エクセルの機能をフルに使って, 見やすい,見栄えのより,図を作成してもらたい.

各種のエクセル裏技,使い方は,遠慮なく,こちらの大学院に聞いてもらたい.
当然,コンクリート研究室(現在;構造材料研究室)には,名人が多い.

また,このプログラムは,マクロが使用されているが,これも,是非,挑戦/熟達 してもらたい.


2
質問者 9817002
C は S よりつよし!
質問箇所 鉄筋コンクリート(2)
5章:軸力と曲げを受ける部材: 破壊包絡線(相互作用図)について
質問内容 破壊包絡線を用いることによって(但し、様々な条件によっても変わってくるのだが)、
この構造が「鉄筋降伏先行型 or コンクリート圧壊型」なのかが判断できます が、
これは橋であれ家であれ、どんな構造物にでも適用することはできるのでし ょうか?
回答:

まず,

回答#1: 「鉄筋降伏先行型 or コンクリート圧壊型」 ということは, あまり重要ではなく,
コンクリート圧壊型でも構わない.
もし くは避けることができない.(この点が,純曲げをうける場合と異なる)

大切なことは,設計断面力がこの 破壊包絡線(相互作用図)の内側にあるかどうかということ.

・設計断面力が内側にある:設計上OK.
・設計断面力が外側にある:設計上,認められない.

ということになる.

回答#2: 「どんな構造物にでも適用できるのか?」:
質問に対する,直接の答は,「YES:そのとおり」ということになる.

ただし,

1.この破壊包絡線は,部材の断面解析であるので,橋であれ,建物であれ,
  部 材である柱や梁のある設計断面に対して検討していることになる.

2.設計書として,このような破壊包絡線(相互作用図)をいちいち作図しているとは限らず,
  基本的には式(5.59)p.118のような照査式を適用することにな る.


1
質問者 吉*弘*
(こいうのは,やはり,何かさびしい気持ちがするが...)
質問箇所 鉄筋コンクリート(2)
紅白の教科書:
p.81,<例題5.2>
質問内容 例題の解答例では,
鉄筋比がp=1%とp=3%の2つの設計例が示してありますが,
この他にもいろいろな鉄筋比が考えられます.

従って,例題の「最大耐力 N’ou=4.5MN」を満足する断面は数多く考えら,
実際の設計では,どのようにしているのでしょうか.
回答:
ここでは,教科書レベルでの演習問題として,出題したので,
質問のように, 題意を満たす断面は,無数に考えられる.
(ただし,構造細目(付表5−1)に従う必要あり)

詳しく言うと,鉄筋量を多くして,断面寸法を小さくする方法と,
鉄筋量を少なくして,断面寸法を大きくする方法など,
直径と鉄筋比の2つが未知数なので,多くの正解が存在することになる.

さて,質問の内容で,実際の設計現場ではどうしているかということだが,
多くの土木構造物の場合,デザイン性,それまでの慣例から,
基本的な構造寸法(直径,高さ)が決まっていることが多い.
それで,構造設計する場合は,部材内の鉄筋量と配筋方法を設計することになり,諸君らの出番となる.



過去の回答集

2003前期
0件
2003後期
24件
2004前期
2004後期

2001前期
10件

2001後期
16件
2002前期
10件